日本では馴染みのすくない果物の王様ドリアン。過去にはバラエティ番組などで、臭さが強烈なことで取り上げられたりしていたこともありました。そんなドリアンは、他の果物と比べても圧倒的に高いのですが、現地の人たちはドリアンの季節になると、家族みんなで食べたり、友人と屋台の椅子に座ってドリアンを囲んで食べたりと大人気の果物の一つです。
ドリアンが近頃とても高くなってきています。その理由は、中国人が好むようになり、マレーシアから大量に買い占めるようになってきた為です。輸出される量が増え、市場に出回る数も減少し、一つあたりの価格が1,2年の間に1.5~2倍になっている状況です。日本でも一時期、中国人の爆買いでにぎわっていましたが、マレーシアでも中国人の勢いがすごいです。
初めてドリアンを口にしたのはドリアンの時期がはじまったばかりの6月ごろでした。ドリアンの屋台がちらほら道に並ぶようになり、夕食後に立ち寄ってみました。何十個もドリアンを並べていて、種類も何種類かあり、どれが良いのかわからないまま、店員のお兄ちゃんがいくつか、手に取り、匂いをかいたりして、いくつか勧めてくれました。素人には外からの匂いではどれが美味しいのか判断がつかず、勧めてくれた中から適度な大きさのドリアンを選びました。
目の前で頑丈なナイフを持ち、手には軍手をはめ、ドリアンをくるくる回りながらナイフで切れ目をいれていきます。その慣れた手つきで手際よくカットしていく姿はカッコよさすら感じました。一通り切れ目が入ると、手で半分に割ると、1/4ごとにドリアンの実がぎっしりと詰まっていました。ビニールの手袋を渡され、プラスチックのテーブルと椅子に案内され、ドリアンをドサっと置いてくれました。
長細い楕円形の実を手に取り、実の真ん中には大きな種が入っているので、恐る恐る指で実をつまみながらとり、口にいれてみました。これまで食べたこともない風味が口の中に広がり思わず顔が歪み、「オエッ」っとなって、その姿をみていた店員のお兄ちゃんは大爆笑。味の表現が難しいのですが、チーズと納豆と牛乳などの発酵食品が複数交わったような味です。日本人でドリアンが好きになったという人に話を聞くと、はじめは同じような感想だったけど、何度か食べていると、この味が忘れなれなくなり、今では一日に一人で2~3個食べてしまうこともあるそうです。ドリアンは中毒性の高い食べ物としても有名なようで、癖になり食べすぎにも注意が必要みたいです。
ドリアンはお腹への刺激も強いようで、癖になり一度に大量に食べることは控えた方がよいでしょう。ドリアンを食べたあとに、実のはいっていたドリアンの皮の部分に「水」を入れて飲むと、不思議とお腹の調子が悪くなりづらいと現地の人が言っていました。どこまで効果があるかわかりませんが、言われるように水を購入して、食べた後にドリアンに水を入れて飲みました。これはドリアン好きな日本人の人も必ずやっていると言っていましたので試してみてください。
ドリアンを食べた後、一日中ドリアンの味が口の中に残っています。また、にんにくと同じように周りの人にもドリアン臭が広がるので、大事な約束がある日などは注意してください。ビニール手袋が屋台のお店にはあるので、もし、食べるときに渡してくれなかったときは、店員さんに声をかけてビニール手袋をつけて食べるようにしてください。素手で少しでも触れると、触れた指や手は、ドリアンの匂いがついて中々消えません。
マレーシアのドリアンのシーズンは6月~8月頃です。ドリアンの収穫方法は、木になっている実をナイフなどで切るのではなく、自然に地面に落ちるのを待ちます。ドリアン農家ではシーズンになると毎朝、早朝になるとドリアンの木を巡回して地面に落ちているドリアンを集めていきます。ひとつひとつが重たくトゲトゲがとても痛いので、集めている時に上から落ちてきて頭に当たると大怪我をしてしまう危険性があるので帽子をかぶったりしています。高級果物のドリアンなので、収穫シーズンになると盗難防止のために見張りをつけて監視したりもします。